この愛に抱かれて

響子は分かっていた。



すべての原因が自分にあるということを。




怜が自分に対してことごとく嫌悪感を抱くのは、母親の愛情を横取りしているからだ。


家族の愛情を横取りしているからだ。



望むものすべてを手に入れていた怜にとって、自分は邪魔者なのだ。


響子は怜の部屋を見たときから、そのことを感じていた。



溢れんばかりの人形の数


着つくせないほどの洋服の枚数


すべてに恵まれていた。