この愛に抱かれて

怜は自分のしたことが悪いことだと分かっていた。


でも、それまで春川家の中心でいた彼女にとって、みんなの愛情が自分以外の誰かに注がれていくことが我慢できなかった。


みんなの愛情を独占したかった。



彼女はそうやって育ってしまったのだ。



叩かれた後、怜は利恵の顔を見た。



そして悪いのは自分じゃないよと言わんばかりに


「マーマー!」と泣き叫んだ。


目からは大粒の涙が零れ落ちた。



響子は冷静にその様子を見つめていた。