この愛に抱かれて

響子の隣にいた怜がふいにテーブルに身を乗り出した。



怜は右手を伸ばすと、手のひらでケーキを押しつぶした。



え!?



みんなの表情が凍りついた。




怜は無表情だった。



黙ったまま、潰したケーキを見つめていた。



すかさず利恵が怜を抱きかかえテーブルから引き離した。



「怜!」



利恵が、ものすごい剣幕で怜をしかりつけ、右手を強く引っ叩いた。