だが、そんな光景を疎ましく思っている者が一人だけいた。



怜だ。




響子が来るまで、怜は春川家の中心だった。



一人っ子だった怜は周りにいるすべての人々の愛情を独占していた。



祖父母や両親はもちろんのこと、親戚や近所の人々から可愛がられ、まさにお姫様だった。



周りの人たちの関心が、みな響子に集まっていることが面白くなかった。



それは怜があまりにも幼すぎたからに他ならない。


理屈ではなく、本能だけの感情だった。