恵慈は隣町にある製紙工場に勤めていた。


アルプスから湧き出る豊富な水のおかげで、この辺りには工場が幾つもあった。


水田や茶畑などの農業も盛んだった。



利恵の夫の竜彦は地元の農協に勤めていた。


利恵と竜彦は幼なじみだった。


2軒隣に住んでいた竜彦を恵慈は子供の頃からよく知っていた。


素直な竜彦の性格を気に入った恵慈は、ぜひ娘の婿になって欲しいと竜彦の両親を口説いた。


竜彦は三男だったこともあり、婿入りの話はとんとん拍子に進み、二人は結婚した。