この愛に抱かれて

源太郎はあることを恐れていた。


それは、弱みにつけこまれ金を強請られることだった。


息子直樹は将来、自分の後を継ぐ者だ。


会社のためにも、将来にわたって事故の影がちらつくことは何としても避けたかった。



「塚原君。遺族とは今回限りで縁を切るよう交渉してくれたまえ。
直樹と今後一切接触をしないことを相手が納得する形で約束させて欲しい」


「分かりました。そのように努力します」


「よろしく頼む」