この愛に抱かれて

直樹は両手で髪の毛をくしゃくしゃにした。



「ふたりが亡くなったことは実に気の毒なことだ。
だが、もしかしたら、お前や博史君が死んでいたかもしれなかった。
こればかりは、その人の寿命だ。
生きるも死ぬも、その人の運命なんだよ」



「運命？」



「そうだ。お前だって被害者なんだ。自分ばかりを責めるな」



「残った子は？」


「今、塚原君に動いてもらっているが、亡くなった母親のご両親が引き取ることになるだろう。
私も、見舞金を考えている。できる限りの援助をするつもりだ」