この愛に抱かれて

記憶が無かったことで、今回の事故をどこか他人事のように感じていた直樹にとって、2人が死んだという事実はあまりにも唐突な知らせだった。


「いいか直樹。これは事故だ。
防ぎようの無い事故だったんだよ」


源太郎は諭すように話し始めた。


「誰が悪いわけでもない。
みんな運が悪かっただけなんだ。
路地から飛び出してきた車も故意にしたことではない。
お前が咄嗟に避けたことも悪いことでない。
どうにもならないことだったんだ」