この愛に抱かれて

「博史の話では、俺の車は壁にぶつかったそうですね。
塚原さんがいるってことは、その補償か何かですか?」



「あの日お前は、博史君を乗せ東京に向かっていた」



「はい」



「高速を降りて市内を走っていたとき、路地から飛び出してきた車を避けようと、お前はハンドルをきった」



事故の詳細を聞くのは始めてだった。


誰に聞いても、詳しいことはわからないと濁されていたからだ。