この愛に抱かれて

地下駐車場でハイヤーから降りた直樹は、高速エレベーターで28階に向かった。


28階のフロアでは、グループ会社を統括管理する部門のスタッフが働いていた。


まさに会社の心臓部だ。


エレベーターは建物の中心を走っており、小さなエレベーターホールを出ると左右にオフィス用のフロアが広がっている。


フロアに壁は無く、それぞれの部署は低いパーテーションで仕切られていた。


開放的な空間であった。


オフィスの床には毛足の長い絨毯が敷かれてあった。


靴が沈み込むほどの良質なものだ。


直樹は久しぶりのその感触を楽しみながら、通路奥の社長室へと向かった。