この愛に抱かれて

駅前に聳え立つ35階建ての高層ビル。



その28階に加藤グループの統括本部はある。


事業の中核をなしていたのが不動産部門であった。



祖父の加藤壮介が始めた土地取引は戦後復興と共に巨万の富を生み出した。


2代目の源太郎は豊富な資金を元手に所有する広大な土地を利用しての観光事業を展開。


高度経済成長の時流にも乗り、会社は飛躍的に成長した。



グループ会社の総従業員数2万8千人。


そのトップに君臨していたのが直樹の父、加藤源太郎であった。


証券分野にも進出し、時はバブル時代を迎えていた。