この愛に抱かれて

救急病院の霊安室


ふたつの棺の前で、5歳の響子はずっと泣いていた。


事故の後、茂と恵美子は搬送先の処置室で静かに息を引き取っていた。


2人とも全身を強く打っていたことが原因だった。


隣の部屋では親族が集まって葬儀の打ち合わせをしていた。


響子のそばには恵美子の妹、春川利恵がずっと付き添っていた。