一方、牧村響子もまた、生きることに苦しんでいた。


10歳になった響子は、学校でのいじめと戦っていた。


両親がいないことや家事をしていることなどが近所の噂になり、格好の標的になっていた。


リーダー的な存在の男女が数人いて、彼らが他の生徒に指示をして いじめをさせていた。


響子と仲の良い友達や庇う者も やがていじめの対象となっていったため、誰もが響子と距離を取るようになっていった。



響子は孤独だった。



すべてあの男のせいだ。



加藤直樹



あの男が自分の人生をめちゃくちゃにしたのだ。