「死んで 何の解決になるんだ?
牧村夫妻が生き返るのか?
あの娘が喜ぶのか?
・・・俺たちはどうなる?
お前の親父さんやお袋さん、遥に水口。
みんなが悲しむんだぞ」



「なあ、博史。教えてくれよ。
俺には 生きる資格があるのか?
2人の、生きる権利を奪った俺に 生きる資格はあるのか!」


直樹は 博史の上着の襟元を掴むと、泣き崩れるように しゃがみ込んだ。



「お前は生きるんだよ。何があっても生きるんだ。
死んで詫びるなんて 卑怯だぞ。
逃げないで 正面から受け止めろ!」


博史の 精一杯の慰めだった。


直樹は精神的にボロボロだった。


そのことは、親友である博史が一番よくわかっていた。


いまはただ、みんなで直樹を支えるしかなかった。