この愛に抱かれて

明美たちの資産も3倍になり、勢いづいた2人は土地を担保に銀行から更なる融資を受け、投機目的のためにマンションや株を購入していった。


茂に対して支払われた慰謝料3千万円も弟に分配した分を除き、すべてを投資に当てていた。



午後9時


夫の作本健一が帰宅した。


健一は物静かな大人しい性格の男だった。


「ほんとに来たんだ」


リビングにいた響子を見て、健一は明美にそう言った。



「8千万よ、8千万」



明美が小声で言った。


嬉しさを堪えるのに必死だった。