この愛に抱かれて

作本健一も明美も、ごく普通のサラリーマンだった。



彼らが、このように豪華な暮らしが出来たのには理由があった。


それは土地の高騰のおかげだった。




東京の下町にあった健一の実家が、遺産相続のため3年前 売却された。


健一と明美はその資金を元手に土地取引を始めた。


その当時、土地の値段は爆発的な勢いで上昇を続けていた。


俗に言う、土地神話なるものだった。


土地は必ず値上がりする。


誰もが信じて疑わなかった。


人々は借金をしてまで土地や株に投資した。