この愛に抱かれて

それらに見惚れていると、明美が紅茶とケーキを運んできた。



「さあ、どうぞ」



見たことのないケーキが目の前にあった。


響子が明美の顔を見た。


「いいのよ。貴女のために買っておいたんだから、遠慮しなくていいのよ。
ケーキなんて安いものよ。ホホホ」



明美は嬉しくて仕方なかった。



加藤源太郎から支払われた響子の養育費には、恵美子に対する慰謝料も含まれていた。


だが、春川家はその受け取りを放棄した。


全額を響子の養育費に当てて欲しいという意向からであった。



すなわち、8千万円すべてが明美の手元に転がり込んできたのだ。



笑いは止まらなかった。