叔父さんと私  ~危険な恋のレッスン~

「何でって……だってさ」

私は無理に明るい顔を作った。

「叔父さんに彼女できたら、やっぱり私だって仲良くしなきゃだし……。
ここでデートするんなら、遠慮するとか……、
あっ、結婚とかになったら……あはっ、大丈夫だよ!
私、一人暮らしするから」

叔父さんは「お前な…」と、少し怒ったように呟くと、

「それは栞が心配することじゃないから。
ここは俺たち二人だけの部屋だから、絶対彼女は連れてこないし、
当分は結婚もしない。少なくとも栞が大学出るまでは。
わかった?」

「う、うん…」

「だから栞は、余計なこと気にしなくていーの!」

叔父さんはテーブル越しに手を伸ばし、私の前髪をくしゃっとする。

申し訳ない気持ちと、嬉しい気持ちがこみ上げてくる。
いつだって私は、叔父さんの「特別」だ。
叔父さんはどんなに女の人と遊んでも、私との生活を揺るがさない。
それって私は叔父さんの「家族」だから?

叔父さんとパパは10歳違いで、半分親子みたいな関係だったらしい。
叔父さんは世話をしてくれたパパに深い恩を感じている。

「だからその分、栞に返さないとな」と叔父さんはいつも言っている。


何事もなかったかのように食事を再開する叔父さん。

私は微かな苛立ちを感じていた。