マンションに帰るとほどなく、叔父さんとキッチンに並んで立つ。
どうやらお料理を手伝ってくれるらしい。

二人暮らしを始めた頃、叔父さんはリンゴの皮さえ剥けなかった。
私も子供だったから、もちろん料理はできなかった。
だけど「必要」は「上達」の特効薬で、
私たちは誰に習うこともなく、だんだん料理上手になっていった。
今は、ちょっとしたプロはだしだ。


「栞、海老の背ワタとって」
「はい」
「アイオリはガーリック効かせて」
「えー、臭くなっちゃうよ?」
「いいよ。明日は休みだし」

二人の間には、シェフっぽい会話が飛び交うまでになっている。
こんな時が、私はすごく楽しい。