「笹野一緒にかえろ」

篠崎 健斗(しのざき けんと)。

健斗は毎日毎日話しかけてくる。

きっと同情してるんだ。

「うん」

いつものようにうなずつ。


私たちは校門を出た。

「あんま無理すんなよ。泣きたいなら泣け」

そう言って抱きしめてきた。

「そんな子供みたいに泣かない」

私は健斗から離れ、歩き出した。

「じゃあ、何でいつも寂しい顔してんだよ」

切ない顔でみてきた。

別に隠す必要がないよね。

「彼氏が死んだから」

そう言うと……

あれ、涙が…

親の前でも泣かなかったのに

どうして…?

「普通に泣けんじゃん。」

健斗はニコって笑い、

再び抱きしめてきた。

温もりを感じた。

柔らかい物が私の唇に触れる。

「話聞くからな」