全てが気に入らない様子の戸塚さんは、怒って教室から出て行こうとしていた。







ちょうど、ドアを思いっきり開けた時、誰かが立っていたらしく








「なによ!!!退いてよ!!!邪魔!!!」








ヒステリックにキンキン声を出しながら、大股で出て行った。








そこにいたのは、1年の書記の東山君だった。








「どうしたの?」








ここにいる事に驚いてしまう。








2年の教室に、1年生が来ることはめったにない。









「あの・・その・・さっき真由さんが出て行くの見た後に・・・その・・会長が出て行ったので・・・その・・・気になって・・」









しどろもどろな返事をする東山君の言おうとしている事が、分からなく真由は不思議そうに東山君を見つめた。









見つめられた事で、東山君はますます照れてしまう。








「私に用事?」







なんだかよく分からないが、何か話があるのだろう。








真由は、教室の椅子に座るように東山君を誘導する。








椅子に座った事で、東山君は少し落ち着いたようだった。








「今日、会議の時の会長の様子がすごくおかしかったんです。ずっと携帯のメールを見ていて、会議なんかうわの空で、全然聞いていなくて。玲奈さんにも言ったんですけど、気にしている様子もなくて『いつもの事だから気にしないの』とか言われて。」









私と会っている時もうわの空って感じだった。







やっぱり何かあたのだろう・・・









「それで、真由さんが先に出て行ったから、後を付けたって言うか、でも戸塚さんと話していたから・・・全部は聞いてないですけで、後半の方ははっきり聞こえてしまって。立ち聞きしてすみません。」







   聞かれたか・・・








東山君は、申し訳なさそうに肩を落としている。









「聞いたことは内緒にしてね。それに心配して来てくれたんでしょ?ありがとう。」









後を着けてきた事は、どうかと思うけど、私とリョウが喧嘩でもしたのだろうかと、思ってくれたのだろう。









「その・・・俺も華彩中出身なんです。」







「えっ!?」








リョウと戸塚さんと同じ中学出身!!!









「だから、実習で来ていた関屋先生も知ってる訳で・・・さっきの話も納得と言うか・・・」









東山君は言いにくそうに、言葉を必死に選んでいる感じだ。









「納得ってどういう事?」








リョウの過去を聞いてもショックを受けるって分かっているのに、聞かずにはいられない。










「会長、関屋先生と付き合ってたと思います。」








東山君の話す内容は、想像通りで胸が締め付けられるようで痛かった。









関屋さんは見た目の可愛らしさと気さくな性格で、学校の生徒から人気があったらしい。








大人っぽいリョウと関屋さんが仲良くなるのに時間はかからなかったと思う。









東山君も、街で2人が手を組んで歩いているのを見かけたらしい。









人目も気にせず、おおっぴらにデートしている噂は、あっという間に広がって、関屋さんは教育実習している状況ではなく、自分から学校を後にしたと聞いた。









「今も続いているなら、真由さんが可哀想です。」








東山君はカワイイ顔を真剣な凛々しい表情にして、真っ直ぐ見てくる。







こういう顔は、予想外で胸がドキドキした。