「そうだね・・・」








痛い所を指摘され、心が沈んでしまう。




   リョウは、正直よく分からない。








私の事、好きだとは絶対言わないし、たぶんそういう感情はないと思う。








ただ、お気に入りのおもちゃって感じで、誰にも触らせたくないし、渡したくもない。








小さな子供がよくやるような、独占欲だけで、それ以上がない。








飽きたら、ポイって感じだろう。









もともと、取引みたいな感じで付き合っているから、仕方ないけど。




   でも、私の方は、ダメ。








普通の会話してたり、食事したり、ごく普通の事で、リョウに見蕩れている。









だんだん好きになって、どんどん惹かれて、リョウの事全部知りたくなってしまう。









リョウには、本命がいるって分かっているのに、好きになる気持ちを止められない。









こんな気持ちが初めてで、リョウに好きな気持ちがバレてしまいそうで、怖い。









「私ね、リョウの事好きなの。でもリョウはそれほど好きじゃないみたい。だからだよ。」








千波も玲奈ちゃんにも、どうして付き合ったかは詳しく、話していない。








だから2人は、リョウが私の事を気に入って付き合ったと思っている。








たぶん、学校中が、そう思っている。








「真由・・・ごめんね。私てっきり、真由の方がリョウの事そんなに好きじゃないんじゃないかな~ってずっと思ってたから。言い過ぎたよ。本当にごめん。」








「ううん。いいの。そう思われても仕方ないから。」









「でもさぁ~、何で真由は、リョウがそんなに好きじゃないって思うの?」








千波は、不思議そうにそう尋ねる。







   どう答えていものか、ちょっと迷った。







「上手く言えないけど、本当に好きな人は、別にいるって感じがするから、それに前にレイも同じようなこと言ってたから・・・」








「ん~~」







千波は、急に深刻な表情で考え込んでいるようだ。








「本当かどうか分からないけど、1年の時に聞いた噂だよ。リョウが中学時代に付き合ってた彼女が、普通の感じの子でそれが、女子の反感を食らったらしく、イジメられたって。」







「えっ?!」




   イジメ??でもリョウが相手ならありえる展開だ。



   
   女の嫉妬って事だね。








「それで、その子耐えられなくって転校したとか聞いたよ。その後、リョウがめちゃくちゃ荒れて特定作らなくなったって、そう言う噂だけどね?」








千波の話す事が、噂ではなく真実だって聞こえる。








そう考えた方が、レイの言っていた事とも合うし、嫌いで別れたわけではないから、好きな気持ちがリョウに残っていてもおかしくない。





   その子の事、今でも好きなんだろうか?







真由が、考え込んでしまっている姿を見て、千波は慌てて。








「あくまでも噂だし、今はちゃんと真由と付き合っているから、吹っ切れたんだと思うし、大丈夫だよ?」







「うん。ありがとう」






そう返事はしたものの、心の中では、その子の存在が気になって仕方なかった。