「誰が誰の結婚相手だって?」






急に後ろから声がして、真由は飛び上がるほど驚いた。






「リョウ!」






千波は、食べかけのピザを落としそうになる。







玲奈は、どこまで話を聞かれたのか、探るような目でリョウを見ている。







どう話していいか、必死で考える。



   
   だって許嫁の事はリョウに話していなかったから・・・








真由の隣にドッカリ座ったリョウは、言葉に詰まる真由をじっと見た。







「戸塚さんと許嫁なんでしょ?」






助け舟を出してくれたのは、玲奈。





「あぁ~そう言う事か、これ食っていい?」







固唾を呑んで、リョウの言葉を聞きたい3人はちょっと拍子抜けした。






リョウは目の前のピザに手を伸ばし、美味しそうに食べ始める。



   
   リョウの食べる姿は、いつ見ても優雅だ。



   育ちの良さもあるのだろう、見ている分ではリョウは申し分ない。



   何をしても絵になる人だ。







「親が勝手に決めた事だからな、だからと言って従う気はねーよ。俺の人生だし、俺が決めるに決まってんだろう?」







「戸塚さんは違うけど?真由に許嫁だって言うぐらいだし。」







千波の強烈なストレートな一言。








「あいつそんなこと言ったのか?はぁ~。俺は弥生の事、女として見たことねーの。それは弥生にも言ってある」








「ガキの頃からずっと一緒で遊んできた奴の事、意識とかできねーし。する気もねーよ。」





   ホッとしている・・・私。



   何で?好きでもないのに?



   ・・・私、おかしいよ・・・







「良かったね、真由」





千波は自分の事のように喜んでいる。







でも、真由は素直に喜べない。




   だって、リョウは私の事好きじゃないのよ?




   ただの気まぐれで付き合っただけなのよ。



   本命がいるくせに・・・






気がつくと目の前の皿が、リョウが来たことでかなり減っていた。






優雅に食べている割には、さすが男、食欲がハンパない。






「私達、料理取ってくるね?」






気を利かせた玲奈が千波と目配せして、料理を取りに行ってしまった。




   2人にしてくれるのはいいけど、なんだろう・・・気まずい。。







「さっき聞いたけど、レイって初日も来てたんだってな?」







「グループで来たし、私服だったし、名前も記帳しなかったからリョウの弟だって分からなかったよ?」







「その時も、真由が案内したって聞いたぜ?」






「誰もいなかったから、私が行っただけよ」







だんだん言い訳っぽくなってしまう。







「初日からレイがしつこく真由に絡んでたって聞いたぜ?」




  誰がそんな余計な事を言ったのよ!!!







「そんなんじゃなくって、どこかで見た事あるとかそんな感じで聞いてきただけよ」





   言い訳している自分が嫌になる。







「真由はレイの事どう思う?俺は弟ながらカッコイイと思う時あるぜ?中坊にも見えねーし、女にもモテるしな?」





   何でこんな事聞いてくるのか、リョウが分からない。




   自分よりレイと付き合えよとか思っているのだろうか?




   それならそれで、余計意味不明だし。






確かにレイは好みのタイプだしカッコイイと思う。




   でも中学生って・・・ありえないよ・・・