生徒会室は、もうすでに打ち上げが始まっており、みんな楽しげに、テーブルの上の料理を食べていた。







豪華なイタリアンのケータリングの大皿がテーブルの上にいくつも載っている。







楽しそうに食事をしているグループの中に、戸塚さんを見つけてホッとする。




    良かった。



    思ったほど、後を引いていなくって。







リョウは会長を見つけると、料理には目もくれずさっさと行ってしまった。







どの料理にしようか、迷っている時、




「真由~」







奥の方の豪華なソファーセットで優雅に食事している、千波が手を振っていた。







6人掛けのソファーなのに千波と玲奈ちゃん2人が占領しており、そこがまた2人らしくって、つい笑ってしまう。







「ね~ね~。さっきのカッコイイ子ってリョウの弟だってね?」







見学案内で、バスケ部を見に行った時、千波が穴が開くほどレイを見つめていたっけ。






「・・・うん。礼司君だよ」







歯切れの悪い真由の返答に、千波は不思議そうな顔をする。







「それは・・・その・・・あれだよね」







浮かれ気味の千波に、玲奈もどう言っていいか分からず、言葉を濁す。







「ん?さては・・・何かあった???」







2人の様子から、千波は何?何?と興味津々。







真由は、一呼吸置いて一通り話した。



   でも、キスの事は内緒で。







「やっぱり私の思った通り、戸塚さん真由に文句言ったでしょ?何が、『弥生は何もしねーよ』だよ。全然してるし!」




「あぁ~。話聞いただけで、ムカついてきた!!」







はっきり物を言う千波は、さっぱりした性格で、裏表のある戸塚さんの事は、モロ嫌いなタイプだ。







「まぁ~、戸塚さんもリョウ一筋だからね。普段はいい子だと思うけど、リョウが絡むと、執着って言うか盲目って言うか、凄いもんね」






玲奈ちゃんらしい客観的意見だ。






「でも、許嫁とか言い出すのは、ちょっと反則じゃない?いくら親が勝手に決めた事とはいえ、戸塚さん絶対有利だし」








ピザを食べながら、千波は、遠くの席で楽しそうに話している戸塚さんを見て不機嫌そうにそう言う。







「でも、本当の事だから仕方ないよ。小さい頃からリョウのお嫁さんだって洗脳されたようなものだし、今は私と付き合っていても、結婚相手は戸塚さんだって事だから」







「真由、大人~って言うか、それでいいの?悔しくない?」






好きで付き合った訳じゃないから、余裕でこんな事言えるのだろうと、自分でも思う。