「チャンスだったのになぁ~」






悪びれないレイの態度に、本気でムッとする。








「最低!!何考えてんの!!それに・・・もういい」








玲奈と戸塚さんに見られたのは最悪だったけど、戸塚さんが機転を利かしてくれたから良かったものの。








リョウに見られたら・・と思うと、背筋が凍る。







「離してよ、触らないで!」








掴まれた手を振り払おうとするが、しっかり掴まれているので振り払えない。









「そんなに嫌がらないでよ~。傷つくな~。それに怒った顔も美人だな~ってね。」









レイは真由を強く引き寄せ、強引にキスした。




  



    最低!!!!何もかも全部 最低!!!








レイを睨みつけ濡れた唇を手の甲で擦る。








最低なのに、心臓は壊れそうなぐらいドキドキ。



  
   


   私・・・おかしい。


   


   おかしくなってる・・・







「俺は、欲しいものは必ず手に入れる主義なんだよね~」








リョウとは全くタイプの違う黒髪のよく似合うクールな整った顔で、魅力的に、にこっと笑うレイ。




   


    ドキンとした。









「ふざけるのはやめて。どうせ私やリョウを困らせて喜んでいるだけでしょ?」







慌てて自分の気持ちを打ち消すように、強く言う。








「本気だよ?俺の彼女に絶対するから、ね、真由」







真っ直ぐ見つめるレイの瞳は、真剣だ。







「真由とか呼び捨てしないで、それに私は絶対リョウと別れないから。」



   




だから私も心にもない事を、強気で言ってみたりもする。








「へぇ~、そう来ちゃう?そんなこと言われちゃうと俺、すっげー燃えるんだけど?」



  



   勝手に、燃えてろ!!



   



   いくらイケメンだからっって、中学生に振り回されてたまるものですか。
 
   





「次の教室に移動しますが、よろしいでしょうか?」







これ以上、くだらない会話なんかしたくない気持ちも込めて、大人な対応をする。








レイは、楽しそうな表情を浮かべて、真由をじっと見たがあえて何も反論しなかった。