五月祭 最終日







もう3日目になれば、みんな慣れたものだった。









混雑していた午前中の案内窓口もトラブルなく終わり、午後になるとそれ程混まなくなり、意外とゆっくりできた。










華彩中の制服を着た男子中学生が1人、案内窓口に向かって歩いてくる。



   



   1人で見学とか珍しい。


   





受付には3年男子の補佐が2人待機しており、向かってくる男子中学生を見て、案内の準備に入っていた。








「また会いに来ましたよ。春日真由さん」








目の前に立って話しかけられるまで、全く気がつかなかった。


   

   

   初日の付き添い男!









だって、私服の時と制服じゃ雰囲気が全く違って見えたし、まして中学生だって思いもしなかったから。







「ちゅ、中学生だったの?」






「そうだよ。もっと上だと思った?」







よくよく見れば中学生といえば中学生。







でも身長の高さと落ちつた物腰は十分大人って感じがする。







「それに、思い出したんだよ。真由さんをどこで見たかってね。」








そう言えば、どこかで会ったかとか聞いてきたっけ。







「絵だったんだよ!」






「絵??」






「浜辺で2人遊んでいる、絵。10歳ぐらいの真由さんとしゃがんでいる妹かな?おばあ様の家に飾ってあった、絵。それでおばあ様に聞いたら真由さんだって言われてさ~。嬉しくなって来たってわけ」




   



   おばあ様=佳代さんだよね・・・



   



   って事は、リョウの弟???








「俺、橘 礼司。みんなレイって呼ぶからレイでいいよ」




   


   はぁ~。爽やかな笑顔でそう言うけど、タメ口だし。



   


   いくらリョウの弟でも仲良くするつもりもないよ。







返す言葉もなくポカンとレイを見つめてしまった。







「っていう事で、案内ヨロシクね?真由さん」






「えっ?私?」







ぶちゃぶりをするレイに、3年男子の補佐の1人は、







「リョウの弟なら春日さんが案内した方がいいよ。」



   


   変な遠慮しないでよ。



  


    私、案内したくないんだから・・・








「じゃ~。お願いしまします」






デカイ図体して子犬の様に擦り寄ってきた。