今日の祖父は気合が入っているようだった。






散髪してきたのか清潔に整えられた白髪の髪からは、






良い匂いの整髪料の匂いがした。








今日訪れる家は、前に1度祖父の作品を買ってくれた人だそうだ。







その後も個展を見に来るようになり、私と萌の描かれた絵を気に入ってくれたそうだ。







「成長した2人を是非見たいって、佳代さんがね、言うもんだから」







どうも、絵を購入してくれたのは金持ちの独り暮らしのおばあ様らしい。








祖父の話す様子から、素敵な人で、祖父もかなり気に入っている様子。







好きなんだろうって直感で分かってしまった。







閑静な住宅街の一際目立つ白い洋館。







緑あふれるイングリッシュガーデンを通り、素敵な洋館に入る。








「いらっしゃい。お待ちしてましたのよ」







出迎えてくれたのは、想像以上の上品なおばあ様だった。








「まぁ~。綺麗なお嬢さん達。私にも孫がいるうだけど、男の子でね、やっぱり女の子は華やかでいいわね」








話し方も仕草も全て品が良い素敵なおばあちゃま。







おじいちゃまが好きになるのがすぐにわかった。







萌は佳代さんの手伝いを買って出て、キッチンでお茶を入れる手伝いをしている。








その間、真由はリビングの壁に持ってきた絵を飾る手伝いをしていた。








「佳代さんの事、どう思う?」







恥ずかしそうにそう聞く祖父。






「素敵な人だと思うよ。趣味もすごく良いし。」







洗練された豪華な家具や壁紙、この部屋には祖父の絵がすごく良く映える。







「そうか。そうか。」







祖父はニコニコしながら真由の返事に満足したようだった。








絵の設置が終わる頃、萌と佳代さんがティーとケーキを運んでくれた。







「庭を見てもいいですか?」







素敵な庭を見たいのもあったし、祖父と佳代さんの邪魔をしたくない気持ちもあった。







萌は萌で、佳代さんの集めているアンティークブローチに夢中だったから誘わなかった。







庭には、白いベンチがありそこに座り、眺めを堪能する。







ここにいるとイギリスののどかな村にいるようで、心地よかった。