中倉君が、近い…//
唇、触れそう…
怖くて、目は強くつむって、しまう。
さっきの「無理矢理でもいい?」って、中倉君の言葉…どういうこと?

そんなことより、今は、この状態をなんとかしなきゃ…

「あのっ…近いです…!」

勇気を出して言った…
だけど、反応が。
…えっ…
私、中倉君に今…なでなでされてるっ…
⁉︎これは、一体…

「な、中倉君…?」
「…黙って…」

えっ…

「でも、玄関じゃ誰かにみつかっちゃうよ…」
「じゃあ、見つからないなら、これ以上でも実音に触れていいの?」

え…、それは。
初めてだ。男子に、名前呼び捨てにされたの…
呼び捨てでも嫌じゃないんだ、私…
なんで?なんでなの。

「実音…明日さ、放課後、3組に来て。」

「えっ…」
「じゃあ、また明日!」

……えっ?ちょっと…

「ま、待って!待ってよー!」

呼び止めようとした時は、遅かった。
中倉君の姿は、もう見えなかった。

早いなぁ~…
男子ってズルい…

あんな、勝手で、意地悪だけど。
たまに優しくてドキドキしちゃう。
忘れられないよ。
勉強も、何もかも手につかなくなっちゃう。

恋って、好きになるって、こういうことなのかな?