恋の花

結衣side


ナイトハイキングの時間…

私は遅れて班に集合した。


「遅れてごめん!」
と謝ると、

「平気平気!じゃあ、行こっか」
波奈がはりきって言うと

「おー!」と
夢が拳を上にあげる。


ナイトハイキングはランタンを一班に二つ持って歩く。


薄暗いけど、夜は夜で違う楽しみかたがある。
虫の鳴き声が聞こえて幻想的だ。


昼のように波奈と夢は先に行ってしまった。



そして、隣にはランタンを持った田辺くん。


「間宮…」
田辺くんに呼ばれて
田辺くんを見る。

「あのこと…気にすんなよ!」

「え?あのこと?」
私は聞き返す

「あの、浅野と勝吾の…」


「あ…」
思い出してしまう。
二人が抱き合っている映像が
頭のなかで再生される。


「好きなんだろ、勝吾のこと。」

何もいえず
下を向くと、田辺くんが
私の手をとった。


「ちょ…田辺くん?」
私はびっくりしながらも田辺くんに着いていくしかない。




田辺くんは私を
大きな木のしたに連れてきた。


「ここ、誰も来ないから…」
田辺くんの口調は、なんだかいつもと違った