持っていた私の鞄は 芝生の上にバタッと落ちた。 「勝吾って、呼べよ」 もう一度繰り返し、 今度は私の耳にそっと囁くと さらに強く、私を抱き締めた。 耳が、体が、熱を帯びていく。 鼓動が早くなる。 この状況をどうしていいかわからず でも、恥ずかしくなりながら 「し…しょう…勝吾……くん…」 と、下の名前を呼ぶというよりは、 言った。