恋の花


ずぶ濡れのままトイレで立ちすくむ。


学校のチャイムが鳴り、

ホームルームの時間は終わりを告げた。


「授業始まっちゃった…」



鞄に入っていたタオルで頭を拭く。



黒髪ロングに眼鏡の格好。
私の頭はお風呂上がりのように濡れている。

眼鏡から滴り落ちる滴は
鼻をつたい唇にひんやり流れる。


今は6月の半ば、暑くなり始めの頃。
「夏でよかった。」


風邪をひく心配はない。

一人で呟くと、



トイレから出た。


誰もいない、
静まりかえった廊下を歩く 9:00。




こんな格好じゃ、


教室には入れない。



また、借りよう…。


私は保健室に向かった。