体育館の窓から夕暮れのオレンジが
差し込んでいる。
俺は彼女が泣き止むまで、
そっと抱き締めていた、
彼女の温かい体温が伝わり、
それがなぜだか安心した。
彼女はそっと顔をあげた。
「落ち着いた?」
そう言いながら
途端に恥ずかしくなり、
俺は抱き締めていた腕をゆっくり離した。
黒髪ロングに眼鏡をした彼女は
よく見ればかわいい顔立ちだ。
ほんの少し、見とれている自分がいた。
「あの、ほんとに助けてくれて
ありがとう。」
彼女はきれいな声で、お礼を言った。
俺…結衣を探しに来たんだった…。
早く見つけないと。
「じゃあ、俺、行くね」
立ち上がり、倉庫を出ようとすると、
「あの!」
と呼び止められた。
「ん?何?」
「名前…名前、教えて」
名前を聞かれて答えた。
「俺、この学園に今日、転校してきた
宇都宮勝吾、君は?」
この子の名前も聞いておこう。
結衣のこと何か聞けるかも。
そして、彼女はこう言った。
「私は…間宮結衣。」
