恋の花



しばらく私は

見知らぬ彼の腕の中で泣いていた。



落ち着きを取り戻して、
顔をあげると

「落ち着いた?」
そう言って、腕を放し見知らぬ彼は微笑んだ。


今になってみると、この人かっこいい。

夕暮れの光が射し込み、
彼の少し茶髪の髪が美しい色合いになる。

きれいな瞳…

あれ、?
私今、この人の腕の中で…泣いてた??



恥ずかしい…

「あの、ほんとに助けてくれて
ありがとう。」


「じゃあ、俺、行くね」
倉庫から出ていこうとする彼。


「あの!」
咄嗟に彼を呼び止めてしまった。

「ん?何?」


「名前…名前、教えて」


「俺、この学園に今日、転校してきた

宇都宮勝吾、君は?」





「私は…間宮結衣。」