時は誰も待ってくれない 下

「え、あ、うん大丈夫」
私の声にさらに驚いた様子の優が強く私を抱きしめる。
「よかった…よかった…」
優は何度もそう言っていた。
目覚めたことがよかったのか
私がまともに喋ったことがよかったのか
よく分からないけどこんなにも優を心配させて
不安にさせていたんだと思うとまた申し訳なくなった。
「…どうしてここにいるの?」
「あぁ、帰るときに家の鍵落としちゃって」
「見つかった…?」
「あぁ」
全然気づかなかったなあ…。
誰かと話すことにまだ少し違和感を覚えている私はゆっくり、曖昧だけどちゃんと優といろんな話をした。
「あぁ、ちょうどよかった」
その声に振り返ると私の担当のお医者さんの
鈴木先生が立っている。
「柴田くん、ちょっといいかい?」
「あ…はい」