時は誰も待ってくれない 下

「…山下くんに聞いて心配になって」
「もう会わなかったんじゃねえの?」
冷たく言い放たれた言葉はごもっともで言葉を失う。
私から窓の外に視線を向けるとまた低く、冷たい声で言った。
「帰れ」
「え…」
「帰れって言ってんだよ」
「なんでそん…」
「高橋にはもう会いたくねぇ」

『高橋にはもう会いたくねぇ』
私の頭の中でループするその言葉に目の前は真っ暗で立っているのか座っているのかさえ分からなくなる。
こうなるのは当たり前だったのに。
山下くんの言葉に舞い上がってたのかもしれない。
なんて不謹慎なの。
そして自分の矛盾に腹が立つ。