時は誰も待ってくれない 下

「真由…」
頭の上から聞き覚えのある声が聴こえる。
「帰ってこないから…やっぱりここだったんだね」
いつも泣いていたら優は来てくれた。
いつだって、どんな時でも優しく笑ってくれるんだ…。
優はしゃがみこんで私を優しく抱きしめる。
泣きじゃくる私の背中をゆっくりと撫でてくれて、それに安心を覚えた。
「どーした?」
「…記憶が…ッ消えちゃう…」
「…」
「全部忘れちゃうんだよ…ッ」
今までの人生を、これからの人生も最後には全部消えちゃうんだ。
「…俺だって物忘れ激しいぞ?」
顔を上げると困ったように眉を下げて笑っている優。
「誰だって忘れたりすることあるよ」