私立神託学園に通っている。
今は春休み。もうすぐ終わるけど。
好きなことは食べること、寝ること、バンド、音楽、動物、絵を描くこととかいっぱい。
嫌いなものは勉強、運動、面倒臭いこと、弱い自分と……歌うこと。
私、華原真希ってこんなやつ。

「……お腹すいた」
別にだれかに言うわけじゃないけど呟いてみる。
呟いたって何も変わらないけど。
今日は休日で、何も用がないから街をブラブラ歩いてる。
歩いてるんだけど…、もしかして迷子?
今どこにいるのか分からなくなった?

「ダサッ」
人があんまりいないから聞くに聞けない。

『…〜♪』
……っ!
歌が、聴こえた。
迷子になったとは言え、ここは近所。
ここら辺で歌う人なんて見たことない。
だって田舎だし。

最初は好奇心だった。
どんな人が歌ってるんだろう、とか。

少しだけ、覗いてみようかな。
そう思い、声のする方へ歩き出した。

段々、歌声が大きくなっていくに連れ期待が高まる。

………っ。
見た瞬間、時が止まったようだった。