亜果音side



今は坂の途中ぐらい。
なんか限界越してなにも感じなくなってきた
相変わらず手は繋がれたままだけど


「光くんってキレイな髪してるんだねーっ」


光「ん?そうか?」


「だって私の茶色と全然違うもん…」



私はサラッと髪をとかした


光「あー、まぁ…昔水泳やってたからな。塩素で色変わったんだよ」


「水泳ってそんなキレイな茶髪になるんだーぁ」



光「俺は亜果音ちゃんの髪の方が好きだけどなー」



光くんの手が私の頭の上へ来た
たぶん撫でようとしたんだと思う


「あっ!!!旅館だよっ!!行こっ!」



私は今まで光くんの後ろを歩いていたのをムリヤリ前に行って、旅館を指差した


ごめんね…光くん。
私、頭はまだあの人の温もりを残したいんだ


光「お前、なんでそんな元気なんだよー」



「あははっ」



私は光くんの手を引いて、旅館へ向かった


「光くん、はやくー!!!おなかへった!!」


光「今行ったってまだ飯はでねーよー!」



そのとき、初めて光くんのホントの笑顔を見たような気がした




光くんの後ろにはもうすぐ沈みそうな夕日があった