コンコン


「あかねっ」


そう言っていつも彼はそこから入ってきた


「あかねっ」


「あかねっ!!!」



私はベッドから飛び起き、

恐る恐るカーテンを開けた。




裕理「やっと開けてくれた…」



「ゆう…り…」



私は放心状態になりながらも

窓を開けた。

夏の風が私の部屋へ入ってきた。




裕理「久しぶり」




彼は3年間で少し声が低くなって

髪も少し伸びて

なにより、たくましくなっていた。



彼はまっすぐな目で私を見て



裕理「亜果音」



微笑みながら私の名前を呼んだ。


私は彼の胸へ飛び込んだ。




「おかえりっ!!!」



そしてギュッと抱きついた。



裕理「ちょ…亜果音…。」



「すき」



私は彼の目を見てもう一度言った。



「好き、大好き。」




裕理「それは…幼なじみとして…?」




悲しそうな顔をしながら聞いてきた。



私は首を横にぶんぶんと振った



「違う。私は…裕理が好きなの…。」




そういって手を離して、1歩下がった。

涙、お願い。

まだ出ないで…



「ははっ。ごめんね、帰って早々。おかえり、裕理」



私は笑った。

笑えてたかどうかわからないけど

笑った。

きっともう裕理は私のことは好きじゃない

だから…想いを告げるだけでよかった


私はくるっと後ろを向いて

ドアに手をかけたとき




裕理「今の…本気にしていいか?」



後ろから抱きつかれた。

裕理の表情はわからない。




裕理「愛してる」



少しまた背が伸びたのか

耳元で囁かれた。



「ダメだね……。私。」



首もとにある裕理の腕をそっと触った。



「ちゃんと…笑顔でおかえりって言いたかったのに…」



私はくるっと振り返って裕理を見上げた



「涙が止まらないよ…」



裕理「それ…俺にとって最高のプレゼントだよ」



裕理が抱きつく力を強めたから

私も腰に手をまわして

力いっぱい抱きしめた。





【大好きだよ】