ケータイを見て、不在着信1件の

文字を見たから、結香と駿くんから

少し離れたところで電話をする。



「もしもしお母さん?なんか用?」


『あ、亜果音?今週末、裕理くんたち帰ってくるらしいわよ』


『佳子ちゃんから電話があってね、佳子ちゃんと宏明くんはね、帰ってきてるらしいけど裕理くんだけは少し残ったんだって』




『それでね…って亜果音?聞いてる?』



私はケータイをいつの間にか

耳から離してた。




【裕理が帰ってくる】





ただそれだけしか頭に残っていなかった











私は結香と駿くんの元へ戻った。



結香「あ、おかえりー。って亜果音!?どしたの!?」




「え…?」




駿「亜果音ちゃん!?なんかあった?」




結香「すごい顔してる…。なんて言うんだろ…。放心状態?」





「週末、裕理が帰ってくる…」





「「え…!?」」



「どうしよう…」




結香「どうしようもこうもないよ!!!行ってちゃんと伝えな…!!」




「なんか…実感なくて…」



駿「そんなの…会えば大丈夫だよ」



結香「後悔しないようにしなって私、前言ったよね?」




駿「口止めされてたけど…裕理な、佐藤と亜果音ちゃんが付き合い始めたとき…」



さぁっと風が吹いた。

夏のさらっとした風だった。





駿「俺じゃ、幸せに出来ない…。って泣いたんだぜ?」





結香「裕理くんらしい…」




駿「今、亜果音ちゃんを幸せに出来る人は?」




結香「会っただけで笑顔になって、安心できる人は?」





「ありがとう」





私はそれだけ伝えて

その言葉だけで十分伝わったと思う

実家へと走って帰った。