「…懐かしいな…」


私たちが中学校3年間を過ごした場所。

思い出がたくさんある場所

つい、半年ぐらい前まではここへ通っていたのに

ずいぶんと昔のように感じる。



もしかしたら、誰かいるかもしれない…

そう思って校舎の影へ出た。

だけど誰もいなくて…

目をつむればあの時の事が鮮明に思い出されるから

あまり、目をつむらないようにした。





「なーにやってんだ」


後ろから…長年聞き慣れた声がした



「ゆうりっ」


裕理「よっ、あかね」


「なにしてんの…あんた…」


裕理「なぁ…あん時俺らガキだったよな」



裕理は校舎を手でそっと触れて言った。


裕理「なーんも考えてなくて、そんで海人や、未羽を傷つけちまった」


「え?」



傷つけられたのは私たちじゃないの?

そう言いたかったけど

裕理のまっすぐな目に見つめられて

なにも言えなかった。







裕理「いなくなる前日に言うのはセコいと思うけど…」



あぁ…

いつも私の隣にいた男の子は

明日、いなくなるんだ…





裕理「俺、亜果音が好きだ。きっと…初めて会った時から…そして、これからも…」


彼は、切なそうに笑って続けた。




裕理「俺、毎年、帰ってくるから…」






裕理「好きだ、亜果音。」