「なになに!誰?」


突然叫んだあたしにキョウちゃんが素早く反応した。


『い、いや……』


朝からバタバタしていて、すっかり忘れていた。

あの子……宇佐木くん。
学校に間に合ったのかな?

あの時、あたし急いでいたから置いてきちゃった。
着いてきてた感じしなかったし。
当然のようにバスにもいなかったし。

もしかして、あたしのせいで遅刻とかしてないかな?
なんか外であたしが出てくるの待ってたみたいだったし。


「ハル?おーい?」


今さらだけど、不安になってきた。
だからといって、どうすることも出来ないけれど。

とりあえず心の中で謝っとこう。
それからもしまたどこかで会ったら、ちゃんと謝ろう。

うん、それでいい。


「ハルッ!」
『は、はい!』


突然、キョウちゃんに耳元で叫ばれた。


「全くもう!すぐ自分の世界に入るんだから!」


うっ。
キョウちゃんに叱られた。

だって一度気になり始めたら、とことん心配になっちゃうんだもん。

自分の世界に入ってる訳じゃないよ、もう!
なんだか、あたしが妄想ばっかりしている子みたいじゃない。

あながち間違ってもいないけれど……