メールボックスを開くと、送信者の名前が目に入った。


一件は家賃の確定連絡。

私のマンションはウェブ明細になっているので、家賃が確定し次第メールで連絡がくるのだ。

いつもと同じ内容なので、そのままメールを閉じる。

次のメールは水鳥さんからだった。




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南水鳥:

題名:楽しんで
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お疲れ様。

律儀に連絡なんて、しなくてもよかったのよ。

ゆっくりとお休みを満喫してね。


帰ってきたら、ご飯でも食べに行きましょう。

楽しみにしているわ。
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その文面があまりに水鳥さんらしくて、なんだか嬉しくなる。

律儀なのは絶対に水鳥さんの方だ。


気にしないで、という気持ちがメールの文面からひしひしと伝わってくる。

帰ってきたらお土産を持って、水鳥さんとお酒を飲みに出掛けよう、と決めた。




最後のメールは森川だった。

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森川輝:

題名:お疲れ様。
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休みに悪い。

水鳥さんから旅行だって聞いた。

仕事のことは今のところ大丈夫だから、気にしないで休め。

時雨が帰ってきたら、今度は俺がゆっくりさせてもらう。



気をつけて
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何か用事があっただろうに。

きっと水鳥さんから私が旅行に言ったことを聞いて、自分で何とかしようと思ってくれたのだろう。



二人とも律儀で、心配性だな。

後でゆっくりメールを返そうと思った。