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――――ピンポーン。


――――ピンポーン。




遠くでインターフォンの音がする。

それと、窓に何かが当たる音が。

バチバチと痛そうな音が。




そうか。

今日は湊の病室に泊まるんだっけ。

この雨の音が、静かな音よりはまし、なんて。



湊は本当に変わってる。

なんて湊らしい。




――――ピンポーン。

ピンポーン。





はっと目を覚ます。

温かい感覚はなく、私は一人でベッドの上にいた。

時計を見ると二十二時を過ぎている。




暗い部屋。

広いベッド。

大きな窓。

うるさい雨粒の音。




ここがホテルの部屋だと理解するのに、少しだけ時間がかかった。

この雨の音が、私をあの日に連れて行ってしまった。

苦しくて変な汗をかいている。



まだどこか現実に戻って来れないけれど、なんとか頭を整理する。



此処が何処か。

今が何時か。





ピンポーン。




部屋のインターフォンに慌てて部屋の電気をつける。

鏡で髪を整えて、軽く汗を拭う。

何も頼んでいないはずなのに、どうしてインターフォンが鳴っているのか理解できなくて、少し考えていた。




とりあえず、あまり待たせるわけにもいかず、ドアへと急いだ。