くちびるの熱が離れた瞬間に、ふわりとチョコの甘い匂いが香った。
まるで魔法がとける前の、微かな余韻みたいだ。
「なに・・・いまの・・・」
呆然とした頭でようやく絞り出した言葉は、そんな間抜けな一言だった。
だって、キスなんて、あの中谷が私相手にキスするなんて・・・
頭の中で、いくつもキスというワードを浮かべて、パンクしそうになる。
中谷と、キスなんて、結び付かないにもほどがある。
「もっかいしたら・・・分かる?」
「いや、そういうことじゃなくて!」
「じゃあ何」
「だから、その・・・何で、キ、キスなんか・・・」
だめだ。
あのワードを口にすると、余計恥ずかしくなる。
気が抜けてしまって、されたことに対する怒りも湧いてこない。
ちなみに、もう24だと言うのに、今のがファーストキスだというのは内緒だ。

