始まりのチョコレート







ペットボトルの飲み口から、チョコのついたくちびるを離すと、中谷はまた、何を考えてるんだか分からないような顔で、「・・・だから、これでもう、あいつのことは、忘れろ、」と、続けた。

・・・・なんで中谷に、そんなこと言われなければならないんだ。

こんなんで、この気持ち、なかったことにできたら、苦労しないって。
中谷は、私の気持ちが分からないから、そんなことが言えるんだ。




「そんなの、無理に決まってるでしょ」


「・・・・・・・・」



いつも無口なくせに、こういうとき、急に沈黙になると、困る。
いつもみたいに何か言い返してみなさいよ、という気持ちで中谷の顔を睨むのに、中谷は全然、喋りだそうとしない。