よし、行こう。
呼吸を落ち着かせて、ゆっくり、ドアノブを回す。
ガチャッ
目の前に広がる、薄暗い外の景色。
そこに見えたのは、よく見慣れた背中。
「矢野くん」
言いかけて、口が止まる。
「うん・・・へえ、そっか・・・」
矢野くん、誰かと電話してる・・・。
・・・・・・
・・・・・・
心なしか、いつもより声のトーンが低いような・・・
だからか、いつも以上に近寄りがたい。
うん、うん、と小さい声でひたすら相槌を打つ。
見たこともない、黒々としたオーラ。
彼をこんなテンションにさせる、相手は一体、誰なんだろう。

