中谷は、私の気持ちに気付いてるんだろうか。
変なとこ、敏感なやつだから、気付いてそうだ。
でも、お前には無理だとか、いつもみたく馬鹿にしないんだな。
それどころか、こんな、真面目な顔してるくらいだ。
どうやらこいつにも、少しは人間らしい感情があったらしい。
それが、同情なのだとしたら、いい気はしないけど。
でも、同情なのだとしたら、私は今、彼に慰められてるということになるんだろうか。
だめだ・・・・
あまりに情けなくて、中谷の顔、見れない。
「あんたこそ、私なんかに構う暇あるなら、ちゃんと仕事しなよ・・・」
俯いたまま、グーにした手で中谷の胸を押すと、彼は後ろに後ずさって、私から離れた。
中谷なんかに、慰められてなるものか。
同情されて、なるものか。
こんなことで、泣いて、なるものか。
「・・・もう、勝手にしろ」
顔を上げると、中谷がださいキャップをかぶり直す、後ろ姿が見えた。

