私、武藤 陽(ムトウハル)今日、14年間生まれ育った東京とさよならする。
高校3年への進学とともに、銀行員である父の転勤で大阪に行くことになった。
もちろん私は行きたくない。
関西なんて野蛮なイメージしかないし、
むこうで標準語なんてしゃべってたら何言われるか分からないから。
だけど当然、そんなわがままが通るわけもないよね。
家の中に入ってみると、いつもあったはずの物がひとつもない。
ほんとに何にもなくて、寂しくみえる。
身の回りの貴重品だけを手持ちのカバンに入れて、両親と一緒に新幹線にのるため、駅に向かった。