それから先生は淡々と今日の注意事項を伝えていき、ホームルームが終わった。






ホームルームが終わった途端、転校生君の周りにスッゴイ沢山の人が集まって来た。






…廊下を見れば、もうすでに噂を聞きつけた他のクラスの女子が集まっている。






うるさいし…。






質問攻めにあっている転校生君はめんどくさそうにして、全て適当にあしらっている。






みんなに冷たい態度で接しているんだ…。





私だけに、冷たい態度をとっていないことが分かり少し安心した。






奈々も質問を続けていたが、あきらめたのか、私の元へやって来た。







「もーイヤッ!瞬くん、奈々の質問に全然答えてくれなーーい!!」






「ちょ!声大きい!聞こえるよ!?」





奈々はもとから声が大きいから、今の言葉も転校生君に聞かれているかもしれない。






「も~いいもん!瞬くん、奈々のイメージとは全然違ったしッ!!」





おいおい……。





まぁ、奈々は明るくて、面白い人が好きだもんね?





転校生君は冷たいって感じだから奈々は興味が薄れてしまったみたいだ。





「でも、やっぱ隣っていいなぁ~」






…奈々、矛盾してるよ。




心の中で悪態をつきながらも、話を続ける。





「奈々、転校生君の事嫌になったんじゃないの?」






「え??何?なんていった??」





「だ~か~ら~!奈々は転校生の事嫌いになった?って!!」






「え?奈々が嫌い?何?周りがうるさすぎて、聞こえない!!」







私の声は、周りにかき消されてしまって近くにいる奈々にも上手く届かない…。






「もぅ~。 ちょっと!あんたたち!!うるさすぎて美佳の言いたいことが聞こえないんだけど!?」






奈々は転校生君の周りに群がっている女子たちの方へ怒鳴った。





奈々の声が良く通り、転校生君をかこっていた女子たち、廊下に群がっていた女子たちは静かになって奈々へと注目する。






…周りの女子の目が痛い。







「ホント何なの?瞬くんに相手にされてないくらいさっさと気づきなさいよ!奈々らにも、瞬くんにも大・迷・惑!!いい加減にしてよね!」





…奈々…。




怖いけど、さっきまで奈々も一緒に騒いでいたので説得力が全然ないよ…。





大半の人は思った事だと思う。




でもその言葉を聞いて女子たちは諦めたのか、それぞれの各自の席やクラスへ戻った。






「で、何?」





その光景を満足そうに眺めていた奈々は急に私へと視線を移した。





「は?」






「は、じゃなくて…!美佳がさっき奈々に言おうとしたことだよ!!」





い、いや…。




こんな状況で聞けるわけないじゃない…。